Q&A
Q&A.1
Q1.川崎病の原因はなんですか?
A.
いまも多くの研究者が
原因究明に取り組んではいますが、
まだ確定されたものはありません。
最近話題になっているのは
川崎病の発症には遺伝的要素の関わりが
あるのではないかという観点から
川崎病にかかりやすい遺伝子の検索が
実施されておりますが確定しておりません。
今、多くの研究者は、
川崎病の原因は一つだけではなく
様々な要因が重なって発症しているのでは
ないだろうかと考えています。
お子さんが川崎病にかかったことで、
ご心配が重なっていることと思います。
川崎病にかかったことは残念ですが、
子育ての間違いによって起こる病気ではありません。
生後1か月前の症例もあれば
40歳を超えている症例もあります。
これらを子育ての間違いと結びつけるには
無理があります。
Q&A.2
Q2.川崎病は、再発するのですか?(兄弟・親子の例もありますか)
A.
川崎病は、残念ながら再発があります。
最新の第24回全国調査
(以下の数値も全て)では
全体の4.2%に見られます。
原因が分かっておりませんので、
再発を未然に防ぐ手立ては今のところありません。
兄弟・姉妹での発症を
同胞例として報告しています。
全体の2.1%の同胞例が報告されています。
親子での発症
(川崎病患者のどちらかの親《あるいは両方》も川崎病というケース)も
調べられています。
全体の1.2%です。
これは通常で川崎病にかかる場合
(0~4歳の好発年齢10万人に対し
約309人=2016年の罹患率)に比べると
やや高い傾向にあります。
そのため、何かかかり易い遺伝子の状態が
あるのではという研究がなされています。
いくつかの報告がなされていますが、
まだその傾向が見られるという
報告にとどまっています。
遺伝と申しますと、
遺伝病(親、子、孫、兄弟で
ある一定の確率でその病気が発症する)と
誤解されがちですが、
この遺伝子検索は、あくまで
その病気になり易い傾向を調べるもので、
まだ川崎病が遺伝病とされた訳ではありません。
多くの病気で、
この遺伝子検査はなされています。
その点は誤解されませんように。
Q&A.3
Q3.免疫グロブリン(ガンマグロブリン)による治療を受けましたが熱が下がりません。今後はどのような治療法があるのでしょうか?
A.
一回目のガンマグロブリン不応の場合、
ガンマグロブリンを再投与する例が多いです。
再投与の不応例については
施設によって違いがありますが、
ステロイド、ウリナスタチン、
シクロスポリン、レミケード、
血漿交換などが行なわれています。
また、一回目のガンマグロブリン投与の時
ステロイドを併用するケースや
ウリナスタチンを併用する施設もあります。
次の治療法も、
主治医の先生は考慮しておられると思いますので、
そのことを伺ってみてください。
主治医の先生を信じて、
よく相談しながら、経過を見てください。
Q&A.4
Q4.川崎病によっておこる心臓障害について教えて下さい。
A.
代表的なのは心臓の筋肉に血液を送る
冠動脈という血管が炎症により
こぶのように拡大し、
冠動脈瘤をつくることです。
出来てしまった冠動脈瘤は
大きさにもよりますが血の固まり(血栓)ができ、
瘤の出入り口が狭くなり、
血液の流れが悪くなり狭心症、
心筋梗塞などの障害を起こすことです。
冠動脈瘤を残した場合は血栓を作らないように
「血液をサラサラ」にする薬
(アスピリンやワーファリンなど)を
冠動脈瘤が元の太さに戻る(退縮)まで
飲み続けます。
また定期的に血栓ができていないか?
狭くなっていないか?
等の検査が必要となります。
心エコー検査が代表的な検査法ですが、
さらに精密な検査法として
冠動脈造影検査(心カテーテル検査)、
心臓CT検査、心臓MRIなどがあります。
冠動脈への障害ではなく、
心臓の弁(代表的には僧帽弁)に
障害を残すケースもあります。
また、冠動脈瘤を残した場合、
稀なケースとして冠動脈以外の血管
(腋窩、総腸骨、腹部大動脈など)に
瘤ができる場合もあります。
Q&A.5
Q5.冠動脈が狭くなっていると診断を受けました。今後はどのような治療があるのでしょうか?
A.
薬による治療として狭くなっている原因である血栓を
これ以上できにくくする薬、
またはその血栓を溶かす薬、
狭くなっている血管を拡げる薬、
さらに狭くなった結果負担になっている
心臓の働きを整える薬などがあります。
薬の治療を実施しても改善しない場合は
冠動脈インターベンション=カテーテル治療(PCI)があります。
その方法としてカテーテル(管)を
冠動脈の狭くなっているところまで導き、
風船を膨らませ押し広げる方法や、
ダイヤモンドチップを高速回転させ
狭くなっている部分を削る方法、
さらに金属の円筒(ステント)を
置いてくる方法等があります。
さらに昔から実施されているのが
冠動脈バイパス手術です。
本人の主に内胸動脈等を使い、
新たな経路を確保する手術です。
今後のことについては、
退院時・その後の外来時に、
主治医の先生とよく相談してみてください。
落ち着かれましたら
直接「親の会」へ相談の電話をされるのも
一つの方法かと思います。(連絡先下記)
冠動脈後遺症として
長期残存する可能性がかなり高い場合、
今後、少なくともある程度長期に渡り
(場合によっては成人期まで、さらには生涯を通じて)
冠動脈や心臓に対するフォローアップ
(診察・検査・治療)が必要になってくると
考えておいてください。
親の会事務局ではいつでも
電話、メール・手紙による相談を受け付けております。
下記までご連絡下さい。
連絡先
〒248-0035
神奈川県鎌倉市西鎌倉3-11-14
川崎病の子供をもつ親の会
浅井 方
TEL 0467-55-5257
FAX 0467-55-5258
メール:info@kawasaki-disease.gr.jp
Q&A.6
Q6.心臓(冠動脈)に後遺症が残りませんでした。退院後の検査などのフォローはいつまで続ける必要があるでしょうか?
A.
川崎病後の定期検査についてですが、
日本川崎病学会、小児循環器学会等の
「川崎病の管理基準」に基づき、
川崎病急性期に冠動脈障害が見られなかった方については
(それらの群に当てはまる方たちの、
これまでの長年の経過観察から大きな問題が
生じていないことを理由に)
発病後5年をめどに定期検査を
終了するようになってきているのが実情です。
ただ、その時点で主治医と相談し、
親の希望やこれまでの経過から
(例えばその間に一過性の拡張が見られたり、
再燃、再発などが見られた場合など)
更なる継続が必要と思われる場合には、
定期検査を一定時期まで
延長持続することも行なわれています。
もし万が一、何かあった時のために、
川崎病急性期の医学的なデータの一部を
しっかり記録・保存しておくために、
川崎病急性期カード(詳細は、Q&A10参照) が作られました。
親御さん自身が、
しっかり記録しておくことも大切です。
お子さんが成長された際に
(川崎病は多くの方が、本人の記憶のない時期に
罹患するため=8割近くが4歳児まで)
既往の事実・内容を
きちんと本人に伝える必要がある病気です。
川崎病は急性期の病態
(冠動脈瘤の有無、その重症度)が
予後を大きく左右します。
急性期に冠動脈の異常を指摘された方
(その後冠動脈の太さが正常化したといわれた方
などを含む)は、
成人期に少なくとも一度は、
冠動脈のチェックを受けることを推奨します。
川崎病急性期カードは、
各医療機関に置いてあると思いますが
なかった場合送料82円切手同封の上、
「親の会」に申し込んで下さい。お送りします。
申込先
〒248-0035
神奈川県鎌倉市西鎌倉3-11-14
川崎病の子供をもつ親の会
浅井 方
TEL 0467-55-5257
FAX 0467-55-5258
メール:info@kawasaki-disease.gr.jp
Q&A.7
Q7.川崎病の退院後の学校生活や運動について気をつけることはありますか?
A.
冠動脈瘤などの後遺症がない場合、
日常生活の運動制限は全くありません。
当然、学校の体育、運動の部活も差し支えありません。
しかし、後遺症が残った場合は
その程度によって制限の内容は変わります。
一概には言えませんが、
軽度の後遺症(6ミリ未満)の場合、
アスピリンを服用しておりますが、
授業での運動や生活制限は原則なく、
運動クラブ活動については主治医と相談して下さい。
6ミリ以上の場合は
強い体育授業は禁止となり
運動クラブについては
その種目によっては禁止になっているのが現状です。
また、大きな冠動脈瘤が残り
ワーファリンを服用している場合は
格闘技等の運動クラブは禁止されています。
ただし運動制限については
本人(子ども)の性格が大きな問題となりますので、
ひとつの目安として理解して下さい。
本人、主治医、ご両親の3者会談を実施し、
本人が理解した上で決定してほしいと考えております。
Q&A.8
Q8.川崎病後の妊娠や出産の例はありますか?
A.
心臓に後遺症がない場合は、
通常の妊娠・出産が可能です。
後遺症がある場合
(薬をのんでいるケースがほとんどですが)は
検査などが必要になる場合もありますので
事前に主治医に相談しましょう。
川崎病冠動脈後遺症があった方の
出産の例は沢山あります。
親の会会員の中にも
2回のバイパス手術を受けた女性や、
急性期8ミリの冠動脈瘤を残した女性が
無事出産しております。
後遺症を抱えて出産を望む方は
産婦人科医と循環器医に是非相談して下さい。
「川崎病後の妊娠と出産」
という本を発行しています。
川崎病に関する本の紹介ページはこちら→
Q&A.9
Q9.後遺症のあった人、なかった人の話しを聞きたい。
A.
親の会の支部が全国にあります。
川崎病の子供をもつ親の会とは?ページはこちら→
各地で情報交換会、懇談会、
相談会も行っています。
お子さんのお話しをするだけでも、
気持ちが軽くなることがあります。
毎年9月には東京で総会を開いています。
先生の講演会があり、
直接質問する時間もあります。
会員の方には、
会報(やまびこ通信)をお送りしています。
川崎病を研究されている先生方の声、
学会に参加した様子や気になる事項、
各地での活動を報告しています。
やまびこ通信(会報)についてページはこちら→
やまびこ通信バックナンバーページはこちら→
Q&A.10
Q10.「川崎病急性期カード」とはどんなカードですか?
A.
川崎病急性期カード(日本川崎病学会ホームページ)
お子さんが大きくなった時に
正確な情報を伝えてあげるのも良いかもしれません。
小児の診療において
川崎病に関する正確な医療情報を
必要とすることがありますが、
時に保護者が、既往や詳細な医療情報を
忘れていることがあります。
そこで、小児科医として川崎病に罹患したことを
風化させないために、
川崎病急性期の臨床症状、治療、
心臓合併症などの医療情報をカードに記載して
患児の保護者に渡すことは、
罹患児のその後の健康管理に役立つと判断し、
日本川崎病研究会が監修して
このカードを作りました。
各医療機関に置いてあると思いますが
なかった場合送料82円切手同封の上、
「親の会」に申し込んで下さい。お送りします。
申込先
〒248-0035
神奈川県鎌倉市西鎌倉3-11-14
川崎病の子供をもつ親の会
浅井 方
TEL 0467-55-5257
FAX 0467-55-5258
メール:info@kawasaki-disease.gr.jp