川崎病って何?

川崎病について1

川崎病って何?

「神奈川県川崎市でおきている公害病かな?…」
違います。
川崎病は川崎市とは無縁です。
川崎病というのは、全身の血管に炎症が起きる病気です。

日赤中央病院
(現在の日赤医療センター/東京都渋谷区)の
小児科におられた 川崎富作先生が発見し、
1967年に世界で初めて医学雑誌に発表しました。

以降、発見者の名前を冠して
「川崎病(KAWASAKI DISEASE)」
世界共通の病名で呼ばれています。

川崎先生が見たことのない
この病気に初めて出会ったのは、
1961年1月5日。
それ以前に川崎病があったかどうかはわかりませんが、
たとえあったとしても 数は少なく、
1960年前後に出現した新しい病気
であると思われています。

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原因は何?

日本ばかりでなく、米国などの研究者によって
数多くの仮説が発表されましたが、
残念ながら原因は特定できていません。
川崎病が、細菌やウイルスによる感染症なのか、
あるいは非感染症なのかすらわかっていない現状です。
最近は免疫などの体質的な因子が
からんでいるのではないかという見方もあり、
免疫学者による原因究明アプローチも行われています。

残念ながら「こうすれば川崎病にかからない、再発を防げる、かかりにくくなる」という予防策もまだありません。それにもかかわらず、ある一部の原因説だけを取り上げて強調し、 商品を販売する悪徳企業もあります。川崎病の予防が可能と証明されたものはありませんので、冷静に対応してください。 もし、こうした内容のチラシ、宣伝をみかけましたらぜひ「親の会」にご一報下さい。

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どんな人がかかりやすい?

最もかかりやすいのは、0歳から4歳までの乳幼児です。
1歳前後をピークに、患者全体の約80%を
4歳以下の乳幼児が占めています。

男女別では男子がやや多いようです。

日本国内では地域による川崎病発生率の差は
ほとんどありません。
また、日本だけでなく
米国・カナダ・中国・韓国・
オーストラリア・イタリア・フィンランドなど、
川崎病が報告されていない国の方が少ないくらい、
世界各国で報告されています。
しかしその数は、
日本と比べると圧倒的に少ないのが特徴です。

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主な症状は?

川崎病の始まりはほとんどが発熱です。
多くの場合は何の前ぶれもなく、
ある日突然38度前後の高い熱がでます。
熱が出る前に首を痛がったり、
風邪のような症状がでることもあります。
熱は38度から40度の高熱で、
平均して7~10日くらい続きます。
時には2週間から1ヶ月におよぶこともあります。
解熱剤は一時的にしか効きません。

その他の症状としては、
両目が赤く充血したり(目やには出ない)、
唇がカサカサに乾燥して充血し、
口紅を塗ったように真っ赤になったりします。
舌はイチゴ状に赤く腫れ(イチゴ舌)、
喉の粘膜も赤く腫れます。
手足や体には大小さまざまな形の発疹が現れます。
首のリンパ節が腫れて痛がることもあります。
手足がむくんで硬く腫れあがり、
手のひらや足の裏が全体に赤くなります。
熱が下がる頃(回復期)に、
指先の皮がむける症状
が特徴的です。
ただしこうした症状が出そろわない、
いわゆる“不全型の川崎病”もあります。

また、高熱のある間は
非常に不機嫌で重病の感がありますが、
発病から2~3週間経過すると症状も軽くなり、
血液検査の成績も正常値となって、もとに戻ります。

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後遺症はあるの?

川崎病によってもたらされる基本的な変化に
血管炎があります。
炎症は全身の血管に起こりますが、
なかでも心臓を養う冠動脈に強い変化が見られます。

心臓という高圧ポンプが送り出す血液を
全身に流す血管は、
そもそも圧力に負けない丈夫な構造になっています。
しかし、 川崎病にかかると血管の壁が弱くなり、
血圧に負け、冠動脈を中心に血管が膨らんでしまいます。


こうしていったん拡張したり
瘤(コブ)ができたりした冠動脈も、
拡大の程度(瘤の大きさ)にもよりますが、
ほとんどの場合、自然と正常な大きさに戻ります。
しかし稀な例として、
冠動脈瘤内に血液の固まり(血栓)ができたり、
冠動脈瘤の出入り口の部分で血管の内腔が狭くなったり、
さらには閉塞して血液の流れを塞いでしまったりして、
いわゆる心筋梗塞という
最悪の事態に至ることもあります。

後遺症を考える場合に、もっとも問題となるのは、
この冠動脈への後遺症の有無です。
割合としては、
全患者の5%前後の子どもに冠動脈の拡張や、
瘤ができるといった冠動脈障害が確認されています。

図:冠動脈瘤ができやすい場所

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後遺症が残ったら?

冠動脈に後遺症が残った場合、
血液が固まらないように
アスピリンなどの抗血小板剤等を服薬します。
4mm以下の拡張の場合は一過性である場合が多く、
退院時、あるいは退院後1年くらいで
平均的な太さになるのが一般的です。
その退縮が確認されれば、
一般的に薬の服用は中止されますが、
6mm以上の瘤の退縮についてはフォローの必要性から、
服薬を継続すべきであるという意見もあります。

年齢が高くなるにつけ
薬を飲まなくなる(怠薬する)傾向がありますが、
医師の指示なしで
怠薬することは大きな問題
です。
日常的に痛いとか、苦しいといった自覚症状が
本人にはほとんどないために、
つい怠薬してしまうようですが、
川崎病の冠動脈障害は
本人の自覚症状がないまま進行します

医師の指示に従ってきちんと服薬を続け、
心臓の定期的な検査も必ず受けるようにしましょう。

しかし残念ながら、
服用を続けていても血管が狭くなったり、
閉塞してしまうこともあります。
こうした例に対しては
血管にカテールという管を入れ、
風船を膨らませて押しひろげたり、
血管の内部の肥厚している膜を
削るといった治療も試みられています。
また、外科的治療として
バイパス手術を行うこともあります。

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心臓以外は大丈夫?

川崎病は心臓以外にも
全身のさまざまな箇所に炎症を起こし、
多彩な症状を示します。
髄膜炎、関節炎、胆のう炎などがその一例です。
しかし、これらの炎症の場合は
発病後2~3週間で自然に治り
後遺症を残すことは殆どありません

しかし、川崎病が発見されてから
まだわずか50余年。
一般的でない症例
(例えば、川崎病の急性期治療として
主流とされているガンマグロブリンの
大量療法では解熱せず、
炎症反応が続くケースなど)に対する治療法は
いまだ確立されていません。
また、川崎病を患った子どもが
動脈硬化の年齢に達した場合に
何らかの影響がでるのではないかと
危惧する声もあります。

つまり実際のところ、
川崎病が将来的にどのような影響を及ぼすのか、
現段階では完全には解明されておりません。
ですから冠動脈に
後遺症が残ってしまった場合はもちろんのこと、
たとえ後遺症がないと言われた場合でも
定期的な検査を受けることが大切です。

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急性期カードとは?


◆川崎病急性期カード(日本川崎病学会ホームページ)
https://www.jskd.jp/川崎病関連情報/川崎病急性期カード/


◆川崎病急性期カード 記載の注意(日本川崎病学会ホームページ)
https://www.jskd.jp/wp-content/uploads/2023/01/card_attention.pdf


川崎病にかかった際の症状や治療、
及び心臓障害の記録を子どもの
将来のために残しておこうという主旨で
「川崎病急性期カード」ができております。
主治医の先生に記入してもらい、
お子さんの将来のため保管しておきましょう。
カードについての申込みやご不明な点は、
「親の会」までお気軽にお問い合わせください。

親の会では、
急性期の症状・治療などのデータを
患者の将来のために残しておく
「川崎病急性期カード」の普及に努めています。
医療機関で手に入らない場合には
「親の会」からも提供しています。
ご希望の方は切手送料(84円)を同封の上、
親の会までお申込みください。

申込先
〒248-0035
神奈川県鎌倉市西鎌倉3-11-14
川崎病の子供をもつ親の会
浅井 方
TEL 0467-55-5257
FAX 0467-55-5258
メール:info@kawasaki-disease.gr.jp

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集団生活をさせても大丈夫?

後遺症がない場合は、
ごく普通に集団生活を送ることができます。
運動制限も一切必要ありません
後遺症が残った場合でも、
程度が軽いようであれば 基本的に運動制限は不要です。

しかし、幼稚園や学校などはとかく管理優先で、
運動制限が過剰になりがちです。
むしろそうした無用な規制が
子どもの心に与える悪影響のほうが心配です。
川崎病にかかっていない子どもと同様に、
のびのびと学校生活を
おくることができるよう心がけましょう。

また、後遺症が残っている場合は、
担任教師、養護教諭、学校医の各先生方などに、
本人の状態をよく知っておいてもらいましょう。
川崎病を知らない先生には
「親の会リーフレット」や
「川崎病なんでもかんでもQ&A」
「川崎病ハンドブック」
「やまびこ通信」などを利用したり

必要であれば主治医の先生に会ってもらうなどして、
病気そのものの内容と
本人の状態を理解してもらい、
過剰反応や過剰規制を防いでいくことが大切です。

「親の会リーフレット」は無料でお分けします。
ご希望の方は、84円切手同封の上、
下記住所まで申し込んでください。
申込先
〒248-0035
神奈川県鎌倉市西鎌倉3-11-14
川崎病の子供をもつ親の会
浅井 方
TEL 0467-55-5257
FAX 0467-55-5258
メール:info@kawasaki-disease.gr.jp

「川崎病なんでもかんでもQ&A」、
「川崎病ハンドブック」について詳しくは、
川崎病に関する本の紹介ページをご覧ください。
川崎病に関する本の紹介ページはこちら→

「やまびこ通信」
やまびこ通信(会報)についてページはこちら→

川崎病について10

予防接種は受けられる?

川崎病にかかったというだけで予防接種を禁止されたり、
「伝染するから」と
社会から特別視されるという残念な事実があります。
発症の原因が確定できていないため、
絶対とは言えませんが、
例えば川崎病とは別の病気で入院している子どもが、
川崎病の子どもと同じ病室だったために
川崎病に罹患したという報告は今のところありません。

人から人にうつる病気ではないという認識が一般的です。

予防接種に関しても不安があるようですが、
急性期にガンマグロブリンという薬を投与した場合でも、
BCG・ポリオなどは、
投与していない場合と同様に2ヵ月後から、
はしか・風疹・おたふくかぜ、水疱などでも
6ヵ月後からは問題なく受けることができます。
しかし、ガンマグロブリンを追加投与した場合は、
もう少し延ばしたほうが良いという意見もありますので、
主治医とよく相談することをお勧めします。

「川崎病にかかっているから」という理由で、
不当なことを言われたときは、
黙って帰ってこないこと。
検査の結果や、川崎病についての正確な情報を
きちんと伝え、相手に理解を求めましょう。
また、もし社会から
こうした差別が行われるような事実があれば、
共に改善させていきましょう。